科研費購入物品の移管

 文部省科研費(現在、学振科研費)で買った物品は、研究者が転出した際、その物品を新しい機関に持っていけるという決まりがある。私が10年くらい前に科研費で買った資料を2年前の転出の際に持っていきたいと大学に申し出たところ、科研費で買ったものは大学に寄贈されており、それは国立大学法人の資産なので、それを移管するにはしかるべき手続きが必要だ。しかし、法人化1年目でまだ規則がない、というような話で、3月の転出時には持っていけなかった。
 しかし、できるだけ早く規則を整備して、1年以内には移管できるようにするという約束で出てきたのだが、その後2年たっても音沙汰が無く、催促するのも面倒なので、ほとんど諦めていた。ところが、本日何の事前連絡もなく、いきなり段ボール3箱が大学に送られてきた。ともかく約束が忘れられていなかったことはよかった。(途中経過を知らせるという方の約束は果たされていなかったが。)
 法人化というのは大変なことで、そのための事務的・管理的な仕事は膨大だ。それを人員削減されている地方国立大学もやりとげなければならないという状況のなかで、転出した元教員の物品移管手続きが後回しになるのは理解できないことではない。国立大学はもともとお役所仕事が多かったが、法人化されてさらにひどくなった。しかし、移管に2年もかかるというのでは、理系の研究分野では致命的なことだろう。私は10年単位で研究をしているのでそれほど痛手はなかったが。

追記
 今回の手続きは、正式には「図書館資料無償譲渡」と言うらしい。2004年度以降の科研費については、「返還」が大学に義務づけられている。私の場合はそれ以前の科研費なので、義務ではないようだ。

【天気】曇り一時雨。夕方、黒く低い雲、そして雷雨。