実際の授業(2)

東京電機大学 工学部・未来科学部 人間科学科目
2014年度後期「科学技術と現代社会」

授業内容(予定)授業内容(結果)備考
第1回
ガイダンス
(9/12)
(9/15)
(1)授業サイトに掲載したシラバスとパワーポイントのスライドの両方を見せながら,授業の概要(講義のテーマ・内容・スケジュール,講義の目的・目標,教材,学習の進め方,成績評価 )について説明する。(1)予定通り
ガイダンス出席者は,月2が4名,金2が23名と,今学期も月曜クラスが少なめ。
ガイダンス出席者は少なかったが,第2回以降から出席する受講者には,ガイダンスの授業ビデオを観るように促す予定。
第2回
原爆構想の始まり/授業サイトへの登録
(9/19)
(9/22)
(1)授業サイトのヘルプページを見せたり,実際の操作を行ったりしながら,授業サイトへの登録方法を説明し,各自で登録作業を行わせる。その後で,授業SNSの使い方の説明し,実際にこの時間から授業SNSを使わせる。
(2)1930年代に原子爆弾製造の可能性を思いついた科学者たちの考えと行動を紹介する。その際,次のビデオを視聴させる。
アメリカの20世紀 2  第2次世界大戦と原爆開発」(NHK衛星第1,2000.12.24放送) 
(3)最後に,次の課題を出す。最初の課題なので,課題の提出方法についても説明する。
「原子爆弾の可能性に気づいた科学者はどう行動すべきだったか?」(以下の選択肢を参考に,自分の意見を理由とともに書く)
・そのアイデアを秘密にする
・国家に原爆開発を急がせる
・原爆の危険性を訴えて,その実現に反対する
・何もせず,それまでどおり研究を続ける
・その他 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
出席者:月2は5名,金2は14名。
受講者が自ら授業サイトへの登録をする際,これまではメールを使ったアカウントの有効化(activation)を行っていたが,メールが届かない等トラブルが少なくないので,今回は有効化の操作をしないですぐにサイトが使えるようなプラグインを導入してみた。その結果,登録作業がスムーズに進んだ。
第3回
マンハッタン計画
(9/26)
(9/29)
(1)冒頭,第2回課題の紹介を行う。
(2)マンハッタン計画を取り上げ,それに関わった科学者たちの考えと行動を紹介する。また,機密保持をめぐる科学者と軍人・政治家との対立についても取り上げる。その中で,マンハッタン計画の巨大さを印象づけるため,ウラン濃縮を行ったオークリッジのクリントン工場を紹介したビデオを見せる。また,秘密裏に荒野に建設されたロスアラモス研究所と,そこの所長オッペンハイマーが所員をリクルートする様子を描いたドキュメンタリー映画を見せる。
失われた世界の謎「極秘の核施設」(2006年,ヒストリーチャンネル,2007.10.5放送)
ジョン・エルス監督「The Day After Trinity」(1980年)ジョン・エルス監督,富田晶子・富田倫生訳『ヒロシマ・ナガサキのまえに——オッペンハイマーと原子爆弾』(ボイジャー,1996年,CD-ROM)所収の日本語字幕付きビデオを使用。
(3)最後に,次の課題を出す。
「マンハッタン計画において,科学者はどこまで責任・権限をもつべきだったか?」(以下の選択肢を参考に,自分の意見を書く)
・科学研究の内容のみ
・研究機関の組織・人事・諸規則まで
・成果の使用方法や社会への影響まで
・その他
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
出席者:月2は5名,金2は16名。
第4回
原爆使用をめぐる科学者の議論
(10/3)
(10/13)
(1)冒頭,第3回課題の紹介を行う。
(2)マンハッタン計画に従事した科学者たちが,原爆使用にともなう政治的・社会的問題に関してどのように考え行動したかを,シカゴ大学冶金研究所の科学者たちが提出した報告書や請願書を紹介しつつ解説する。導入として,次のビデオを見せる。
ETV2001「トリニティーの記憶 〜原爆をつくった父へ 娘の問いかけ〜 前編」(NHK教育,2001.8.27放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
「原爆使用の是非を論じたフランク委員会やシラードの行為をどう見るか?」(以下の選択肢を参考に,自分の意見を書く)
・科学者の責任を超えた越権行為
・科学者の責任を自覚した立派な行為
・科学者として当然の行為
・自分の立場を危うくする愚かな行為
・その他
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
10/6(月)が台風18号関東地方通過のため休講。月曜クラスのスケジュールが1週ずつ後にずれることになった。
10/3に受講者確定。受講者数は,月2が5名,金2が19名 。
第5回
原爆投下決定と外交
(10/10)
(10/20)
(1)冒頭,第4回課題の紹介を行う。
(2)第二次世界大戦末期にアメリカの政治指導者は日本に対する原爆使用をどのように考え行動したか,ということについて,特にアメリカの対ソ外交という観点から紹介する。また,3回に分けて次のビデオを見せる。
その時歴史が動いた「シリーズ ポツダム宣言・米ソの攻防① 原爆投下・トルーマンの決断」(NHK総合,2001.7.25放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
トルーマン大統領はどのように対日戦を終結させるべきだったか?(以下の選択肢を参考に,自分の意見を書く)
・日本に天皇制維持を約束して降伏勧告を行う
・ソ連参戦を待つ
・日本が降伏するまで次々と原爆を投下する
・本土上陸作戦を行う
・その他 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
第6回
原爆による被害
(10/17)
(10/27)
(1)冒頭,第5回課題の紹介を行う。
(2)広島・長崎に投下された原爆による被害,特に人間に対する物理的・社会的被害を次のビデオを見せながら紹介する。なお,ビデオには非常に残酷な映像も含まれているため,無理をして見なくても良いこと,気分が悪くなったら退室してもよいことを伝える。
NHKスペシャル「原爆の絵 〜市民が残すヒロシマの記録〜」(NHK総合,2002.8.6放送)
ヒロシマ ナガサキ 〜白い光 黒い雨 あの夏の記憶〜」(NHK総合,2008.8.5放送)
被爆者 空白の十年」(NHK総合,2007.9.24放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
なぜ被爆者は,10年以上ものあいだ,医療上・生活上の援護を受けることができなかったのだろうか?(今回は選択肢なし。自由に考えてもらう)
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
第7回
原爆被害情報のコントロール
(10/24)
(11/10)
(1)冒頭,第6回課題の紹介を行う。
(2)原爆被害情報が日米政府によっていかに収集され利用されたかを,占領期の検閲や日米の原爆調査に関する次のビデオを見せながら紹介する。
ETV特集「“屍の街”からの叫び 〜被爆作家 大田洋子と戦後〜」(NHK教育,2007.8.5放送)
被爆者 空白の十年」(NHK総合,2007.9.24放送) 
(3)最後に,次の課題を出す。
もし,占領期に原爆被害についての表現活動(報道,文芸,研究発表など)が自由に行われたとしたら,日本国民や国際世論はどのように反応しただろうか? 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
第8回
中間での振り返り
(11/7)
(11/17)
(1)冒頭,第7回課題の紹介を行う。
(2)授業の目的および第2回から第7回までの前半の授業の内容を振り返る講義を行う。
(3)授業サイトに設置したオンラインアンケート(全12問)に答えてもらう。また,その集計結果を表示させながら,短くコメントしていく。
(4)授業サイトのポイント確認ページで現在獲得できているポイントを確認させる。また,それを今後の受講の仕方に反映させるよう促す。
(5)最後に,次の中間レポート課題を出す。
「マンハッタン計画に携わった科学者の責任」と題して,この科目で学んだことを十分に踏まえ,さらに自分で必要な情報を集め,多様な意見を吟味しつつ,マンハッタン計画に携わった科学者の責任に関する自分の考えをできるだけ説得力のある根拠とともに主張する。
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
(4)予定通り
(5)予定通り
第9回
冷戦下の核実験と新たな被ばく者
(11/14)
(11/24)
(1)冒頭,各クラスのポイント獲得状況およびそこから予測できる成績の傾向について紹介する。
(2)冷戦下に続けられた核実験とそれによって生じた新たな被ばく者(兵士,住民,人体実験被験者)について,次のビデオを見せながら紹介する。
ウィークエンドスペシャル「ビキニ・核の黙示録 〜死と再生の軌跡〜」(NHK衛星第2,1997.8.8放送)
日曜スペシャル「すてられた放射能の島 〜マーシャル・核の流民たち〜」(NHK衛星第1,1999.11.14放送)
ドキュメント地球時間「アメリカ 被曝兵士の告発」(NHK教育,2001.6.15放送)
クローズアップ現代「暴かれた米国核人体実験 〜冷戦下に何が行われたか〜」(NHK総合,1994.3.30放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
1. なぜアメリカ政府は,国内外に大量の「被ばく者」を生み出してまで,核実験を行ったのか?
2. なぜアメリカ国民の多くは,自国の核実験に反対しなかったのか? 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
第10回
アメリカ人の原爆観
(11/21)
(12/1)
(1)冒頭,第9回課題の紹介を行う。
(2)次のビデオにより,1995年前後のスミソニアン原爆展論争や最近のアメリカ人映像作家の作品を紹介し,アメリカ人の原爆観とその変化を窺う。また,これまで一般的だった原爆観の背景として,アメリカ政府の宣伝の一部を紹介する。
NHKスペシャル「アメリカの中の原爆論争 〜スミソニアン展示の波紋〜」(NHK総合,1995.6.11放送)
ETV特集「戦争の記憶を探る 第2回 アメリカ原爆展論争 〜歴史家ジョン・ダワーの闘い〜」(NHK教育,1995.7.18放送)
ケヴィン・ラフティ,ジェーン・ローダー,ピアース・ラフティ監督「アトミック・カフェ」(DVD,1982年,日本語版2005年)
ヒロシマ ナガサキ 〜白い光 黒い雨 あの夏の記憶〜」(NHK総合,2008.7.31放送)
BS世界のドキュメンタリー「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 3 原爆投下」(NHKBS1,2013.4.11放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
今回の授業では,原爆という残虐な兵器による非戦闘員の大量殺傷という自国の「負の歴史」を直視しないアメリカ人の姿を見てきた。では,日本で似たようなことは起きていないだろうか? 日本人は,自国の「負の歴史」を直視してきただろうか?(あなた自身は,日本の「負の歴史」をきちんと学んだことがあるか?) 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
第11回
科学者による核兵器反対運動
(11/28)
(12/8)
(1)冒頭,第10回課題の紹介を行う。
(2)次のビデオを見せながら,第二次大戦後,科学者によって行われた核兵器反対運動について,オッペンハイマー,ロートブラット,湯川秀樹を例に紹介する。
ジョン・エルス監督「The Day After Trinity」(1980年)ジョン・エルス監督,富田晶子・富田倫生訳『ヒロシマ・ナガサキのまえに——オッペンハイマーと原子爆弾』(ボイジャー,1996年,CD-ROM)所収の日本語字幕付きビデオを使用。
テレメンタリー2005「原爆開発を胸に」(テレビ朝日,2005.8.30放送)
NHKスペシャル「ラストメッセージ 第2集 核なき世界を 湯川秀樹」(NHK総合,2006.11.6放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
1. なぜ,核廃絶を訴える科学者の声は社会になかなか受け入れられないのだろうか?
2. なぜ,一部の科学者は,困難な反核運動にあえて身を投じたのだろうか? 彼らの強烈な責任意識はどこから来たのだろうか? 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
第12回
核の拡散と国際管理
(12/5)
(12/15)
(1)冒頭,第11回課題の紹介を行う。
(2)次のビデオを見せながら,第二次大戦後の核兵器の拡散,およびそれを防ぐための核不拡散条約(NPT)体制の歴史と現状を紹介する。また,昨年から始まった核兵器の人道的影響に関する国際会議を紹介する(今学期から導入する新しい内容)。
クローズアップ現代「恐怖の核拡散は防げるのか」(NHK総合,1998.6.1放送)
NHKスペシャル「核・連鎖の時代へ 〜インド・パキスタン核実験後の世界〜」(NHK総合,1998.8.9放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
1. なぜ,新たに核兵器を持とうという国が出てくるのだろうか?
2. 核拡散を防止するには,どうすればいいだろうか?
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
核兵器の人道的影響に関する国際会議の第3回会議が,2014年12月8-9日にウィーンで開催されるので,注目するよう促した。
第13回
グループディスカッション
(12/12)
(12/22)
(1)冒頭,第12回課題の紹介を行う。
(2)今学期のこれまでの講義内容を簡単に振り返る。
(3)次の期末レポート課題について,授業サイトの該当ページを示しながら説明する。
「核抑止論に対する私の考え」と題して,この科目で学んだことを十分に踏まえ,さらに自分で必要な情報を集め,多様な意見を吟味しつつ,核抑止論に対する自分の考えをできるだけ説得力のある根拠とともに主張する。
(4)比較的よく書けている中間レポートを例として使いつつ,達成目標評価基準(ルーブリック)について詳しく説明する。また,SNSで質問を受けつけ,回答する。
(5)最後に,次の課題を出す。
次回のグループディスカッションで「核抑止論」をめぐって議論するための準備として,「核抑止論」に対する自分の考えと,その根拠を簡潔にまとめる。
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
(4)達成目標評価基準と中間レポートの改善すべき点をまとめた資料をもとに,説明を行った。時間が足りなくなったため,比較的よく書けている中間レポートの紹介とSNSでの質問の受けつけはできなかった。
(5)予定通り
この回の授業までに,中間レポート全部の採点を終え,授業サイトのポイントページで各自に通知する。
第14回
グループディスカッション
(12/19)
(1/19)
(1)冒頭,第13回課題の紹介を行う(まとめと感想の部分のみ)。
(2)グループディスカッション
今回は講義は行わず,「核抑止論」に関するグループディスカッションを行う。
月曜クラス:
1. まずグループディスカッションのやり方をスライドで説明する。
2. 自分を名乗る際,実名とするか,ニックネームとするか,両方とするか,希望を聞いて決める。
3. グループを作らせ,模造紙とペンを配布したあと,自己紹介および各自の意見を述べさせる(15分)。
4. 論点(3つ程度)を整理させる(10分)。
5. 各論点について,議論させる(30分)。
6. まとめをさせる(5分)
金曜クラス:
1. まずグループディスカッションのやり方(ワールドカフェ方式)をスライドで説明する。
2. 自分を名乗る際,実名とするか,ニックネームとするか,両方とするか,希望を聞いて決める。
3. 4人または3人一組のグループを作らせ,模造紙とペンを配布したあと,第1ラウンドの話し合い(20分)を行わせる。
4. 1人または2人を残して,残りの人は別の班に移動させる。その後第2ラウンドの話し合い(20分)を行わせる。
5. 再び最初のグループに戻って,第3ラウンドの話し合い(20分)を行わせる。
(3)最後に,次の課題を出す。
今回のグループディスカッションの成果を次の2点に分けてまとめる。
1. 今回のグループディスカッションに参加して感じたこと
2. 「核抑止論」について他の受講者と意見を交わして得られたこと
(1)予定通り
(2)月曜クラス:出席者は4名だったので,1班でディスカッションを実施した。なかなか発言が続かず,しばしば教員が介入したが,それでも最後まで議論は活発にはならなかった。途中の論点整理もうまくいかず,焦点の定まらない質疑応答が続いた。
(2)金曜クラス:予定通り
(3)予定通り
月曜クラスは,ワールドカフェ方式を実行するには人数が少なすぎるので(クラス全体で参加者4名)授業の進め方を一部変更した。 
ワールドカフェ方式だと,議論が進まない班も,途中でメンバーの入れ替えがあるので,議論が活発化する可能性があるが,同じメンバーで長い時間話すことなると,そのまま最後まで行くこともある。
月曜クラスは,この回が前回から1か月近く経っているということも,議論が活発化しなかった要因と考えられる。グループディスカッションは昨年内にやったほうが良かったかもしれない。
第15回
フィードバック
(7/21)
(8/1)
(1)冒頭,第14回課題の紹介を行う。
(2)各クラスで比較的よく書けている期末レポートを2つ紹介し,講評を行う。
(3)成績評価方法を確認した後,各クラスの成績分布予想を示す。
(4)授業アンケートを実施する。
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
(4)予定通り