実際の授業(1)

東京電機大学 工学部・未来科学部 人間科学科目
2014年度前期「科学技術と現代社会」

授業内容(予定)授業内容(結果)備考
第1回
ガイダンス
(4/7)
(4/11)
(1)授業サイトに掲載したシラバスとパワーポイントのスライドの両方を見せながら,授業の概要(講義のテーマ・内容・スケジュール,講義の目的・目標,教材,学習の進め方,成績評価 )について説明する。(1)予定通り
これまでもガイダンスでは,剽窃は厳禁であることを伝えてきたが,今回は赤江雄一氏(慶應義塾大学)のYouTubeビデオ「剽窃について」を見るように促した。

授業スライド
授業ビデオ
スクリーンに投影したパソコンの画面を,講義の音声とともに録画し,YouTubeにアップロードして,授業サイトから見られるようにした。今後の講義も同様にビデオ化し,授業サイトに掲載する予定。授業ビデオは,復習や自習のために提供しているが,特に初回ガイダンスのビデオは,ガイダンスを欠席した受講者(残念ながら例年かなりいる)に本科目履修上の注意事項を伝える上で重要と考えている。
第2回
原爆構想の始まり/授業サイトへの登録
(4/14)
(4/18)
(1)授業サイトのヘルプページを見せたり,実際の操作を行ったりしながら,授業サイトへの登録方法を説明し,各自で登録作業を行わせる。その後で,授業SNSの使い方の説明し,実際にこの時間から授業SNSを使わせる。
(2)1930年代に原子爆弾製造の可能性を思いついた科学者たちの考えと行動を紹介する。その際,次のビデオを視聴させる。
アメリカの20世紀 2  第2次世界大戦と原爆開発」(NHK衛星第1,2000.12.24放送) 
(3)最後に,次の課題を出す。最初の課題なので,課題の提出方法についても説明する。また,達成目標評価基準(ルーブリック)を意識して書くよう促す。
「原子爆弾の可能性に気づいた科学者はどう行動すべきだったか?」(以下の選択肢を参考に,自分の意見を理由とともに書く)
・そのアイデアを秘密にする
・国家に原爆開発を急がせる
・原爆の危険性を訴えて,その実現に反対する
・何もせず,それまでどおり研究を続ける
・その他 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)月曜クラスでは,時間が足りなくなり,達成目標評価基準(ルーブリック)の話はできなかった。次回授業で言及したい。金曜クラスでは,簡単に触れることができた。 
月曜クラスの出席者は6名。予想より大幅に少なかったが,一人一人に対して丁寧に対応できるという点では好条件かもしれない。金曜クラスは,40名弱の出席があり,人数的にはちょうど良かった。 

授業スライド
授業ビデオ
第3回授業冒頭で紹介する第2回課題を選ぶ。また,そこから典型的な意見を引用しつつ,授業SNSの談話室に議論のきっかけとなる書き込みを行う。(今学期の授業SNSの新機能として談話室を設けた。これは@dをつけて投稿すると,「談話室」というページに現れるというもの。授業SNSでは,常にタイムラインが流れていくため,過去の書き込みをめぐって議論するのが難しかったが,この機能により特定の話題について時間をかけて議論できるのではないかと期待している。)

後日メモ:結局談話室は,私によるファシリテーションが不十分だったこともあり,授業内容に関する話題に関しては,ほとんど活用されなかった。 
第3回
マンハッタン計画
(4/21)
(4/25)
(1)冒頭,第2回課題の紹介をするとともに,授業SNSの談話室に第2回課題の問題提起について議論するためのスレッドを立てたことを伝える。また,授業SNSに過去ログをまとめて読む機能を追加したことを伝える。
(2)マンハッタン計画を取り上げ,それに関わった科学者たちの考えと行動を紹介する。また,機密保持をめぐる科学者と軍人・政治家との対立についても取り上げる。その中で,マンハッタン計画の巨大さを印象づけるため,ウラン濃縮を行ったオークリッジのクリントン工場を紹介したビデオを見せる。また,秘密裏に荒野に建設されたロスアラモス研究所と,そこの所長オッペンハイマーが所員をリクルートする様子を描いたドキュメンタリー映画を見せる。
失われた世界の謎「極秘の核施設」(2006年,ヒストリーチャンネル,2007.10.5放送)
ジョン・エルス監督「The Day After Trinity」(1980年)ジョン・エルス監督,富田晶子・富田倫生訳『ヒロシマ・ナガサキのまえに——オッペンハイマーと原子爆弾』(ボイジャー,1996年,CD-ROM)所収の日本語字幕付きビデオを使用。
(3)最後に,次の課題を出す。
「マンハッタン計画において,科学者はどこまで責任・権限をもつべきだったか?」(以下の選択肢を参考に,自分の意見を書く)
・科学研究の内容のみ
・研究機関の組織・人事・諸規則まで
・成果の使用方法や社会への影響まで
・その他
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
月曜クラスでは,新たに2名が出席し,合計8名出席。達成目標評価基準については,もう少し進んだところで,説明することに方針を変えた。あまり難しいことを言わないで,まずは課題を自由に書いてもらうことにした。

授業スライド
授業ビデオ
授業SNSに,過去ログをまとめて読む機能を追加した。期間を指定するとその間の書き込みを古いものから順にまとめて読むことができる。この機能は,私が授業後に授業中の書き込みをまとめて読むのに便利なように作ったものだが,復習のためにSNSを読み返している受講者にも好評のようだ。
このプロジェクトの対象ではないのだが,別の科目の「科学の社会史」で,点数稼ぎのためのツイートが目立つことや,投稿数を成績に反映することについて談話室などで議論が始まっている。 昨年度までは,学生にとってツイートすることへのハードルが高かったようで,ツイート数が多い人は内容もよかった,つまり良い内容が書けないとツイートしにくいような雰囲気があったが,今学期は気楽に内容の薄い書き込みをする人が増えてきたように見える(Twitter等が普及したためか)。投稿数を評価の基本に据えること自体を再考しなければならなくなってきたようだ。このプロジェクトはまさにその点を改良するための試みである。
第4回
原爆使用をめぐる科学者の議論
(4/28)
(5/9)
(1)冒頭,第3回課題の紹介をするとともに,授業SNSでのツイートの評価に長さによる重み付けを導入することへの賛否を談話室で求めている旨伝える。また,その件に関するオンラインアンケートに回答するよう促す。
(2)マンハッタン計画に従事した科学者たちが,原爆使用にともなう政治的・社会的問題に関してどのように考え行動したかを,シカゴ大学冶金研究所の科学者たちが提出した報告書や請願書を紹介しつつ解説する。導入として,次のビデオを見せる。
ETV2001「トリニティーの記憶 〜原爆をつくった父へ 娘の問いかけ〜 前編」(NHK教育,2001.8.27放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
「原爆使用の是非を論じたフランク委員会やシラードの行為をどう見るか?」(以下の選択肢を参考に,自分の意見を書く)
・科学者の責任を超えた越権行為
・科学者の責任を自覚した立派な行為
・科学者として当然の行為
・自分の立場を危うくする愚かな行為
・その他
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
月曜クラスでは,授業で紹介する課題を選ぶ際に3名しか課題を提出していなかったため,意見のバリエーションが乏しかった。早めに提出するよう促した。

授業スライド
授業ビデオ
学生の間で,ツイートの内容を加味せず,単純にその数で成績評価することへの疑問が出されたため,ツイートの長さにより成績評価上の重みを変えることを提案し,談話室で意見を求めるとともに,オンラインアンケートを実施した。1倍(重み付けをしない)という選択肢より,それ以外(重み付けをする)という選択肢が多かったため,重み付けをする選択肢のなかで一番多かった0.5倍の重み付けをすることにした。
こうした議論の中で,授業SNSにはどのような書き込みがふさわしいか,どのように活用するのがよいのかを学生自身に考えてもらい,今後授業SNSがより有効に活用されることを期待している。

後日メモ:学期末のアンケートで,ツイートの長さによる重み付けについて尋ねたところ,よかった,よくなかった,変わらないの3つの回答がほぼ同じくらいになり,必ずしもよかったわけではないことが分かった。これは,もともと両クラスの受講者がそれほど多くなく,内容が薄い書き込みがそれほど目立たなかったためと思われる。
第5回
原爆投下決定と外交
(5/12)
(5/16)
(1)冒頭,第4回課題の紹介をするとともに,授業SNSでのツイートの評価に長さによる重み付け(20字以下は0.5倍)を導入することにしたことを伝える。
(2)第二次世界大戦末期にアメリカの政治指導者は日本に対する原爆使用をどのように考え行動したか,ということについて,特にアメリカの対ソ外交という観点から紹介する。また,3回に分けて次のビデオを見せる。
その時歴史が動いた「シリーズ ポツダム宣言・米ソの攻防① 原爆投下・トルーマンの決断」(NHK総合,2001.7.25放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
トルーマン大統領はどのように対日戦を終結させるべきだったか?(以下の選択肢を参考に,自分の意見を書く)
・日本に天皇制維持を約束して降伏勧告を行う
・ソ連参戦を待つ
・日本が降伏するまで次々と原爆を投下する
・本土上陸作戦を行う
・その他 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り

授業スライド
授業ビデオ
第6回
原爆による被害
(5/19)
(5/23)
(1)冒頭,第5回課題の紹介を行う。
(2)広島・長崎に投下された原爆による被害,特に人間に対する物理的・社会的被害を次のビデオを見せながら紹介する。なお,ビデオには非常に残酷な映像も含まれているため,無理をして見なくても良いこと,気分が悪くなったら退室してもよいことを伝える。
NHKスペシャル「原爆の絵 〜市民が残すヒロシマの記録〜」(NHK総合,2002.8.6放送)
ヒロシマ ナガサキ 〜白い光 黒い雨 あの夏の記憶〜」(NHK総合,2008.8.5放送)
被爆者 空白の十年」(NHK総合,2007.9.24放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
なぜ被爆者は,10年以上ものあいだ,医療上・生活上の援護を受けることができなかったのだろうか?(今回は選択肢なし。自由に考えてもらう)
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
ひどい火傷や外傷を負った被爆者の映像は,時に学生に大きな衝撃を与え,過去には退室しようとして倒れてしまう学生が出たこともあったが,今学期は教員の方で対応が必要な学生が出ることはなかった。

授業スライド
授業ビデオ
月曜クラスの課題に剽窃が見つかった(法律の条文のコピペ)。次回の課題の紹介の際に,剽窃部分を具体的に示しながら説明し,減点の対象となることを強調する。
第7回
原爆被害情報のコントロール
(5/26)
(5/30)
(1)冒頭,第6回課題の紹介を行うとともに,剽窃が見つかったことについて具体的に説明する(月曜クラス)。
(2)原爆被害情報が日米政府によっていかに収集され利用されたかを,占領期の検閲や日米の原爆調査に関する次のビデオを見せながら紹介する。
ETV特集「“屍の街”からの叫び 〜被爆作家 大田洋子と戦後〜」(NHK教育,2007.8.5放送)
被爆者 空白の十年」(NHK総合,2007.9.24放送) 
(3)最後に,次の課題を出す。
もし,占領期に原爆被害についての表現活動(報道,文芸,研究発表など)が自由に行われたとしたら,日本国民や国際世論はどのように反応しただろうか? 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り

授業スライド
授業ビデオ
第8回
冷戦下の核実験と新たな被ばく者
(6/2)
(6/6)
(1)冒頭,第7回課題の紹介を行う。
(2)冷戦下に続けられた核実験とそれによって生じた新たな被ばく者(兵士,住民,人体実験被験者)について,次のビデオを見せながら紹介する。
ウィークエンドスペシャル「ビキニ・核の黙示録 〜死と再生の軌跡〜」(NHK衛星第2,1997.8.8放送)
日曜スペシャル「すてられた放射能の島 〜マーシャル・核の流民たち〜」(NHK衛星第1,1999.11.14放送)
ドキュメント地球時間「アメリカ 被曝兵士の告発」(NHK教育,2001.6.15放送)
クローズアップ現代「暴かれた米国核人体実験 〜冷戦下に何が行われたか〜」(NHK総合,1994.3.30放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
1. なぜアメリカ政府は,国内外に大量の「被ばく者」を生み出してまで,核実験を行ったのか?
2. なぜアメリカ国民の多くは,自国の核実験に反対しなかったのか? 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り

授業スライド
授業ビデオ
第9回
アメリカ人の原爆観
(6/9)
(6/13)
(1)冒頭,第8回課題の紹介を行うとともに,課題にもコメントが付けられるようにしたことを伝える(なお,課題にコメントを付けても成績には影響しない)。
(2)次のビデオにより,1995年前後のスミソニアン原爆展論争や最近のアメリカ人映像作家の作品を紹介し,アメリカ人の原爆観とその変化を窺う。また,これまで一般的だった原爆観の背景として,アメリカ政府の宣伝の一部を紹介する。
NHKスペシャル「アメリカの中の原爆論争 〜スミソニアン展示の波紋〜」(NHK総合,1995.6.11放送)
ETV特集「戦争の記憶を探る 第2回 アメリカ原爆展論争 〜歴史家ジョン・ダワーの闘い〜」(NHK教育,1995.7.18放送)
ケヴィン・ラフティ,ジェーン・ローダー,ピアース・ラフティ監督「アトミック・カフェ」(DVD,1982年,日本語版2005年)
ヒロシマ ナガサキ 〜白い光 黒い雨 あの夏の記憶〜」(NHK総合,2008.7.31放送)
BS世界のドキュメンタリー「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 3 原爆投下」(NHKBS1,2013.4.11放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
今回の授業では,原爆という残虐な兵器による非戦闘員の大量殺傷という自国の「負の歴史」を直視しないアメリカ人の姿を見てきた。では,日本で似たようなことは起きていないだろうか? 日本人は,自国の「負の歴史」を直視してきただろうか?(あなた自身は,日本の「負の歴史」をきちんと学んだことがあるか?)
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り

授業スライド
授業ビデオ
他の科目で,課題にもコメントが付けられたらよいという意見があったので,課題にコメントを付ける機能を追加した。なお,この機能は,先学期においては最初から実装し,課題に付けられたコメントも成績評価の対象としていた。しかし,課題に付けられたコメントがあまり内容のないものばかりとなったため,今学期はこの機能を外していた。今回は,成績評価の対象としないため,内容のないコメントは減ると思われる。

後日メモ:課題にコメントする機能はほとんど利用されなかった。やはり成績に関係ないと学生は利用しない傾向がある。
例年,この回の課題では,日本の「負の歴史」をめぐっていろいろな意見が出る。ここでの目的は,原爆の被害を直視しないアメリカ人を鏡として自分たちの姿を振り返るということなので,日本の「負の歴史」自体には深入りしない。ただ,学生からは日本の「負の歴史」として,南京事件や従軍慰安婦問題くらいしか出てこないことが多いので,第二次大戦中の日本による原爆・毒ガス・細菌兵器の研究開発の歴史とその隠蔽について言及することにしている。 
第10回
科学者による核兵器反対運動
(6/16)
(6/20)
(1)冒頭,第9回課題の紹介を行う。
(2)次のビデオを見せながら,第二次大戦後,科学者によって行われた核兵器反対運動について,オッペンハイマー,ロートブラット,湯川秀樹を例に紹介する。
ジョン・エルス監督「The Day After Trinity」(1980年)ジョン・エルス監督,富田晶子・富田倫生訳『ヒロシマ・ナガサキのまえに——オッペンハイマーと原子爆弾』(ボイジャー,1996年,CD-ROM)所収の日本語字幕付きビデオを使用。
テレメンタリー2005「原爆開発を胸に」(テレビ朝日,2005.8.30放送)
NHKスペシャル「ラストメッセージ 第2集 核なき世界を 湯川秀樹」(NHK総合,2006.11.6放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
なぜ,核廃絶を訴える科学者の声は社会になかなか受け入れられないのだろうか?
なぜ,一部の科学者は,困難な反核運動にあえて身を投じたのだろうか? 彼らの強烈な責任意識はどこから来たのだろうか? 
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り

授業スライド
授業ビデオ
第11回
核の拡散と国際管理
(6/23)
(6/27)
(1)冒頭,第10回課題の紹介を行う。また,金曜クラスでは,7/4を休講にすることを伝える。
(2)次の期末レポート課題について,授業サイトの該当ページを示しながら説明する。
「核抑止論に対する私の考え」と題して,この科目で学んだことを十分に踏まえ,さらに自分で必要な情報を集め,多様な意見を吟味しつつ,核抑止論に対する自分の考えをできるだけ説得力のある根拠とともに主張する。
ここで,達成目標評価基準(ルーブリック)について詳しく説明する。
(3)次のビデオを見せながら,第二次大戦後の核兵器の拡散,およびそれを防ぐための核不拡散条約(NPT)体制の歴史と現状を紹介する(日本における核武装研究を含む)。
クローズアップ現代「恐怖の核拡散は防げるのか」(NHK総合,1998.6.1放送)
NHKスペシャル「核・連鎖の時代へ 〜インド・パキスタン核実験後の世界〜」(NHK総合,1998.8.9放送)
NHKスペシャル「“核”を求めた日本〜被爆国の知られざる真実」(NHK総合,2010.10.3放送)
(4)最後に,次の課題を出す。
1. なぜ,新たに核兵器を持とうという国が出てくるのだろうか?
2. 核拡散を防止するには,どうすればいいだろうか?
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)時間が足りなくなり,日本における核武装研究については省略し,次回に回すことにした。
(4)予定通り

授業スライド
授業ビデオ
期末レポート課題については,学期初めの時点では決めていなかったが,授業を進める中で核抑止論の話題が繰り返し登場したので,これを期末レポート課題とすることにした。 
第12回
核兵器と原発
(6/30)
(7/11)
(1)冒頭,第11回課題の紹介を行う。
(2)核の「平和利用」と軍事利用の関わりを二つの事例で紹介する。一つは,反核・反米世論が高まっていた1950年代の日本で進められた原子力平和利用キャンペーン。もう一つは,非核三原則(1968年)を打ち出した佐藤栄作政権時代に,日本の核武装の可能性が検討され,日本は(核開発能力はあるが)「あえて」核を持たない選択をすると宣言した事例。次のビデオを見せる。
現代史スクープ「原発導入のシナリオ 〜冷戦下の 対日原子力戦略〜」(NHK総合,1994.3.16放送)
NHKスペシャル「“核”を求めた日本〜被爆国の知られざる真実」(NHK総合,2010.10.3放送)
(3)最後に,次の課題を出す。
次回のグループディスカッションで「核抑止論」をめぐって議論するための準備として,「核抑止論」に対する自分の考えと,その根拠を簡潔にまとめる。
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り

授業スライド
授業ビデオ
前回,核の拡散の流れで利用しようと考えていた日本の核武装研究の話題を,核の平和利用と軍事利用の関わりの文脈に置いてみた。これは今学期初めて導入した内容。この変更により,当初予定していた原子力平和利用キャンペーンに関する講義内容は一部省略した。
第13回
グループディスカッション
(7/7)
(7/18)
(1)いつも通り,冒頭,第12回課題の紹介を行う。
(2)今回は講義は行わず,「核抑止論」に関するグループディスカッションを行う。まずグループディスカッションのやり方(ワールドカフェ方式)をスライドで説明する。
(3)4人または3人一組のグループを作らせ,模造紙とペンを配布したあと,第1ラウンドの話し合い(20分)を行わせる。
(4)1人または2人を残して,残りの人は別の班に移動させる。その後第2ラウンドの話し合い(20分)を行わせる。
(5)再び最初のグループに戻って,第3ラウンドの話し合い(20分)を行わせる。
(6)最後に,次の課題を出す。
今回のグループディスカッションの成果を次の2点に分けてまとめる。
1. 今回のワールドカフェ方式のグループディスカッションに参加して感じたこと
2. 「核抑止論」について他の受講者と意見を交わして得られたこと
(1)-(6)予定通り
初めての試みだったが,ほとんどの班で活発な議論が行われていた。一部の班では,一通り意見を出し合った後,静かになっていたが,議論が続くよう教員が介入した。
月曜クラスはもともと8名しかおらず,2班しか作れない。そのため,第2ラウンドでは2名を残し,2名が入れ替わる方式にした。

授業スライド
今回のグループディスカッションでは,グループ内で授業SNS上で使っているニックネームを明かして自己紹介することにした。それによりネット上の人格とリアルな世界の人格が結びつくことになった。それに対して,両者を結びつけたくないという学生がいることが分かった。次回以降どうするか考える必要がある。

後日メモ:この点に関して学期末にオンラインアンケートで尋ねてみたところ,ニックネームは明かさず,実名のみを明かすのがよいという回答が一番多かった(45%)。
第14回
振り返り
(7/14)
(7/25)
(1)冒頭,第13回課題の紹介を行う。
(2)今学期のこれまでの講義内容を簡単に振り返る。
(3)次の最終課題を出す。
本科目に関する今学期の自らの学習を振り返り,次の4項目についてまとめる。
1. 授業中の学習について
2. 授業外の学習について
3. 最もよく書けた課題について
4. まとめの言葉
(4)成績評価方法を確認する。
(5)オンラインアンケートに答えてもらう。
(6)学部で行っている授業アンケート(質問紙方式)に答えてもらう。
(1)-(6)予定通り

受講者から,今回のような振り返りは,グループディスカッションの前に行って欲しかったという感想があった。「振り返り→グループディスカッション→期末レポート」という流れが良いのかもしれない。

授業スライド
授業ビデオ
第15回
フィードバック
(7/21)
(8/1)
(1)冒頭,第14回課題の紹介を行う。
(2)授業アンケート集計結果および自由記述欄の紹介を行う。
(3)各クラスで比較的よく書けている期末レポートを2つ紹介し,講評を行う。また,クラスの成績分布予想を示す。
(1)予定通り
(2)予定通り
(3)予定通り
人数の多い金曜クラスでは,ルーブリックに基づいて成績評価を短期間(1週間)で行い,その結果を最終回の授業で伝えるのが大変だった。
初めて,ルーブリックによるレポートの評価を行ったが,初めて作ったルーブリックであったため,レポートの実態に合わない部分もあり,かなり悩みながら評価を進めた。実際のレポートをもとにルーブリックを改訂して,次回に臨みたい。