授業SNSの作り方
筆者が利用している授業SNSは,筆者手作りのシステムである。
自分でも作ってみたいという人の参考のために,基本的な情報を提供する。
用意するもの
- ウェブサーバー
- PHPとMySQLが使えるもの
- レンタルサーバー(ホスティングサービス)を利用しても良い(筆者は,管理が簡単なので,初めからレンタルサーバーを利用)
- 授業中に多数の学生が頻繁にアクセスするので,できるだけ性能の良いサーバーが望ましい
- WordPress
- オープンソースのCMS(Content Management System)。もとはブログを構築するためのソフトだったが,今やウェブサイトを構築するための標準的なソフトにまで成長した
- 日本語版あり
- レンタルサーバーによっては,自動インストール機能があり,簡単にインストールできる。ただし,手動でインストールすることも,それほど難しくはない
- BuddyPress
- WordPressにSNS機能を付加するプラグイン
- 日本語化は行われていないようだが,古いバージョン(1.2.6)の日本語言語ファイルが入手可能
- WordPress用のテーマ
- 「テーマ」とは,WordPressのサイトのデザインなどを設定するファイル群のこと
- WordPressにはデフォルトのテーマが付いているが,基本的にブログを想定したデザインなので,SNSとして使うにはあまり良くない。BuddyPress対応の気に入ったデザインのテーマを探して用意する。ウェブ上には,無料のものも有料のもの(いわゆるPremium版)もある(筆者は現在,有料のTopBusinessを使用している)
- WordPressのプラグイン
- 最低限必要なものは以上だが,Twitterなどのように新しく投稿されたツイートが自動的に表示されるようにするため,WordPressのプラグインRS Buddypress Activity Refreshを用いている。なお,自動更新の間隔は受講者数に応じて調整する。筆者の場合,50名くらいまでのクラスでは30秒間隔,100名を超えるクラスでは45秒間隔で運用している。サーバーの能力により,さらに間隔を広げないと反応が鈍くなる場合もある
- その他にも,無料で提供されている様々なプラグインをインストールすることで機能を付加することが可能。たとえば,オンラインアンケートはYOP Pollを利用して実現している
手順
- WordPressをインストールする
- レンタルサーバーに自動インストール機能があれば,それを利用してもよい
- 手動でインストールするには,最新版のWordPressをダウンロードし,サーバーにアップロードする。インストールの仕方はこちらを参照のこと
- WordPressにテーマをインストールする
- 用意したテーマのファイル(ZIP形式)をWordPressの ダッシュボード>外観>テーマ>新規追加 からインストールする
- WordPressにプラグインBuddyPressをインストールする
- WordPressの ダッシュボード>プラグイン>新規追加 からBuddyPressを検索して,インストールする
- WordPressにプラグインRS Buddypress Activity Refreshをインストールする
- WordPressの ダッシュボード>プラグイン>新規追加 からRS Buddyress Activity Refreshを検索して,インストールする
- サイトを必要に応じて日本語化する
- WordPressは日本語化されているものの,その他のソフトは英語版なので,必要に応じて日本語言語ファイルを作成しアップロードする。日本語言語ファイル(poファイル,moファイル)を編集するには,Poeditを利用すると便利
- その他,必要に応じてカスタマイズする
免責事項
このページの情報を利用したことによって生じたいかなる損害に対しても,筆者(田中浩朗)は責任を負いません。自己責任でご利用ください。
自分で授業SNSを構築し,それを授業に使う場合は,授業の進行や成績評価に支障が生じないように十分な準備をしてください。また,学生の個人情報の扱いにも十分な注意を払ってください。
カスタマイズ
筆者は,最低限の授業SNSに以下のような機能を追加している。
- 授業情報・資料の提供
- WordPressはもともとブログシステムであり,コンテンツを「投稿(Post)」と「固定ページ(Page)」という部分に掲載できる。筆者は固定ページを用いて,授業に関する情報と資料を提供している。そこには,PDFファイルを掲載したり,YouTubeの動画再生コードを埋め込んだりすることができるので,授業関連の様々な情報提供が可能である
- 課題の投稿・閲覧
- WordPressの投稿(Post)には,コメントを付ける機能が備わっている。これを用いて,受講者に課題を提出させている
- 通常は,コメントを投稿するとすぐに表示される。しかし,管理者が許可しないと表示しないような設定にもできる。こうすれば,締切までは表示させないで,締切を過ぎたら表示させるということもできる
- Moderate Selected Postsというプラグインを用いると,特定の課題のみ,コメントの表示に管理者の許可が必要なようにすることができる。最新の課題は締切まで表示がなされないようにし,過去の課題については,コメントがすぐに現れるといった使い方ができる
- Comment Timeoutというプラグインを用いると,一定期間のみコメントが付けられて,それ以降はコメントが付けられないようにすることができる。これを利用すると,課題の締切を設定し,それ以降は投稿できないようにすることができる
- 独自にPHPコードを書いて作った機能
- すでに公開されているプラグインなどでは実現できない以下の機能については,PHPコードを自分で書いて実現した
- 過去ログの検索・表示
- 最近授業ツイートや課題に付けられたコメントへのリンク一覧表示
- 自分が提出した課題の一覧表示
- 自分が投稿した授業ツイート・コメント・課題の数,ならびにそれらのクラス中央値の表示
- 受講者全員の投稿数に関するデータをcsvファイルで出力する機能(管理者機能)
- すでに公開されているプラグインなどでは実現できない以下の機能については,PHPコードを自分で書いて実現した