東京新聞3/28夕刊文化欄に,日本考古学協会社会科教科書問題小委員会委員長岡内三眞氏の「歴史教育と考古学 小6社会に「縄文」復活 教科書改善粘り強く」と題する文章が載っていた。新学習指導要領の告示(3/28)に合わせた記事である。
日本考古学協会は2005年から,1989年の指導要領以来,小学校社会科の日本史教育が弥生時代から始まっている問題を調査・検討し,旧石器・縄文時代も取り扱うよう運動を続けてきた。その成果かもしれないが,「狩猟・採集」が復活した。
同協会は,指導要領の文案についても修正案を提出していたが,その修正は認められなかった。それは,「我が国の歴史」を「我が国と郷土の歴史」などと修正するものであった。小学校日本史教育を日本という国(国家)を中心に構成しようとしている方針と合わないものだったからであろう。「我が国は旧石器時代からはじまる長い歴史をもち」など,かなり無理な文言である。
私が注目したいのは,歴史学系の学会が,きちんと社会に発言し,影響力を持っていることである。人が自らの過去をどう記憶するかということは,決して歴史学者・考古学者が決めて良い問題ではない。しかし,そこに専門家として関わることは,専門家の責務だと思う。現在の日本の科学史家はこの点がかなり弱くなっているように思う。
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