この麻疹休校の間にできたのは、新サーバの立ち上げと、レオナルド展の見学と、教員アンケートのとりまとめと、洋書数冊の拾い読みだ。
大学での科学史教育のあり方に関する検討の関連で、歴史学の大学院教育に関するアメリカでの議論を調べている。読んだ本は次の4冊。
- Ernest L. Boyer, Scholarship Reconsidered: Priorities of the Professoriate (1990)
- Charles E. Glassick et al., Scholarship Assessed: Evaluation of the Professoriate (1997)
- Mary Taylor Huber and Sherwyn P. Morreale, eds., Disciplinary Styles in the Scholarship of Teaching and Learning: Exploring Common Ground (2002)
- Chris M. Golde and George E. Walker, eds., Envisioning the Future of Doctoral Education: Preparing Stewards of the Discipline (2006)
どれも、大学教員の仕事(scholarship)の研究至上主義を見直すよう説くもので、Boyerはそれを「discovery, integration, application, teaching」の4つとしている。この4つの仕事がどれだけできているか、自分自身を振り返る参考になる。
日本でも1990年代から大学教員の業績を区分するカテゴリーとして研究・教育・社会貢献・管理運営の4つが使われているが、実際に昇進等に使われるのは主に研究の業績だ。その他の分野は評価方法があまり開発されていない。上記の1997年の本ではその評価法が検討されているが、アメリカでは実際にどれほど使われているのだろう。
日本では、国立大の運営費交付金を科研費の配分額に応じて上下させようなどという議論もでている。研究至上主義は強まる一方だ。国際競争力強化のために、学者の多面的な活動が犠牲になりつつある。
【天気】曇り一時雷雨。昨日のアオサ取りのため筋肉痛。