新型インフルエンザ感染者への偏見・差別が感染隠しを拡大させつつある。神戸市教委では,インフルエンザで学級閉鎖となった学校等の名前を公表するかどうか苦慮しているという(神戸新聞,2009/6/17)。学級閉鎖の情報は,感染予防策をとる上で貴重な情報だが,これが隠されるということは,感染を拡大させることにつながる。また,差別・偏見を温存することにもつながるだろう。迫害や風評被害などを恐れて隠そうとする圧力はあるだろうが,きちんと説明したうえで,記事にある外岡氏のコメントにあるとおり,公表すべきだろう。
私は,私の行動範囲での自治体による感染者発生情報をつねに気にしている。学級閉鎖情報も欲しい。ちなみに,東京都や区は現在,新型インフルエンザ患者が発生した学校名を公表していない。マスコミ報道に頼るしかない。そうした情報をもとに,各自が気をつけながら行動するしか,この新型インフルエンザの流行をやりすごすことはできない。各自治体やマスコミのウェブサイトにアクセスする手間はばかにならない。こうした情報を分かりやすい形で提供してくれるシステムができないかと思う。
また,感染者を非難するのではなく,感染者をいたわるような社会になってほしい。感染者は病人なのだということを忘れてはならない。病人に対する迫害はこれまでの長い歴史の中で繰り返し行われてきたが,私たちはその歴史から何を学んできたのだろうか。病人が隠れて暮らさなければならない社会はいつになったら終わるのか。
ちなみに,おととい衆院で臓器移植法A案が通ったことも,弱者(脳死=脳不全の人およびその家族等)に対するいたわりの気持ちの欠如を感じさせる。これまで弱者が隠されてきたため,そうした人たちに対する想像力が欠如してきているのだと思う。
【天気】曇りのち晴れ。