首都圏初の新型インフルエンザ感染者を出した高校の校長が涙の会見をしていたのを見て,いかにも日本的な展開になったと思わずにはいられない。その涙には,感染した生徒が「世間をお騒がせして申し訳ありません」と言っていたことが不憫でならないことと,校長の自責の念が感じられた。
生徒は模範的な対応をしており,何ら批判されるべきことはない。新型インフルエンザが日本でも蔓延することは時間の問題であり,犯人さがしをしても意味がない。もう追跡不可能なほど未確認感染者が国内に入っていると見るべきだろう。今回の生徒の模範的な行動を讃えて,同様の冷静な対応を呼びかけることが大事である。
マスクをしていても感染したことがニュースになっているが,当然予想されたことである。マスクをすれば感染しないという信仰の方が恐ろしい。どれほど注意してもかかるときはかかると誰もが覚悟を決めて日常を過ごす必要がある。そしてかかったときは,適切に行動すればよい。生徒はそれをきちんと果たした。
校長は,新型インフルエンザにかかるリスクと模擬国連に参加して得られる教育効果を秤にかけて,リスクをとっても渡米することがよいと判断したと,堂々と主張すればよい。主催した米国側は,そう判断したからこそ,「キャンセルする理由がどこにある」と言ってきたのだろう。それでインフルエンザに感染しても,適切に対応すれば他人に感染させることなく,自分も回復できる。それはそれなりに大変なことだが,それでも模擬国連に参加するメリットの方が大きいと考えることにそれほどおかしな所はない。今回の感染は想定内で,予定通りの対応をした,ときちんと説明すればよい。ちなみに,学園の一斉休校は明らかに過剰対応だ。そのようなことをするから,感染した生徒の罪悪感がますます大きくなってしまう。
私の大学では,今週末の合同体育祭が中止になった。これも過剰対応の部類だろう。野外で人が集まることはあまりリスクの高いこととは言えまい。
【天気】晴れ。