誤解では?

 前から気になっていることがある。厚労省の連絡文書の中に次のような文言があるのだ。

※重症化防止重点地域は、患者数の増加に対する感染拡大防止策を講じた結果、状況が落ち着いた地域等を指します。

 重症化防止重点地域というのは,感染が拡大してしまったので,拡大防止から重症化防止に重点を切り替えたところということではないのか。つまり,「感染拡大防止策を講じた結果、状況が落ち着いた地域」ではなく,感染拡大防止に失敗して,状況がより深刻化した地域なのではないか。

 重症化防止重点地域の方が対策が緩やかなのだが,それは状況が落ち着いたからではなくて,状況があまりに酷いのですべてに手が回らないということだ。その点を誤解させるような注記だと思う。

 さらに理解を困難にするのは,重症化防止重点地域に大阪府などが指定されていたことだ。大阪府では現在感染拡大のピークを過ぎて終息しつつあるのだ。これは,感染が終息した地域についての対応の仕方を決めていなかったために起こった矛盾だろう。

 なお,政府は昨日6/19に運用指針(pdf)の改定を行い,二つの地域の区別を廃止して,すべての地域で緩やかな対応をとるように変更した。これはこれでまた混乱のもととなるだろう。果たしてすべての医療機関でインフルエンザ患者を他の患者と分けて診療できるだろうか。院内感染のリスクを高めることになるだろう。

参考:あらかじめ伝えておくこと(新型フル リスコミWS@神戸大から)