フツーにおいしい

 フレッシュマンセミナーでアサーション(相手に配慮しつつ自分を素直に表現すること)の授業をやった。母親が自分の好物のおかずを作ってくれて,それがとてもおいしかったとき,何と言うかという問題で,「フツーにおいしいよ」と言うという学生がいた。「えっ?」と反応に窮したが,「フツーに」という言葉を今時の若者は私の理解とは違う使い方をするのかと思い,その意味を問うと「普通よりおいしい」と答えた。なぜ「フツーにおいしい」が「普通よりおいしい」のか,その時は良く分からなかった。後で考えてみると,私の想像では,「普通」というのはそれほどおいしくないのだが,「フツーにおいしい」は,「期待通りに(いつも通りに)おいしい」ということではないだろうか。母親が作る好物なのだからおいしいはずだが,その期待に応えるおいしさということを「フツーに」と表現したのではないだろうか。

 しかし,これを聞いた母親はうれしく思うだろうか? 彼の母親なら大丈夫なのかも知れないが,年上の世代に話すときはもう少し配慮が必要だというコメントをすべきだった。

5/12追記:
 NHK「ことばおじさんの気になることば」の「フツーにおいしい?」(2004/10/15)によると,「フツーにおいしい」というのは,「意外においしい」に相当するようだ(私の想像ははずれだった)。ちなみに,若者は「意外においしい」という言葉を,「かなりおいしい」と同じように使うとのこと。自分の好物をつくってくれた母親に「フツーにおいしい」というのは素直な表現ではなさそうだ。まあ,若者にはありがちだが。

【天気】晴れ。暑かった。