- ハイビジョン特集「証言記録 レイテ決戦」2008.8.10, NHKBShi, 90分
ほぼ同タイトルの番組が8/15のNHKスペシャル(60分)で放送される。
太平洋戦争のターニングポイントとなったレイテ島の決戦。番組では、日米両軍の元兵士、現地フィリピン住民や対日ゲリラなど、生存者の証言を広範に収集。今もなおトラウマに苦しむ日米比三国の人々の証言から、戦死だけではなく餓死や同士討ちまで巻き起こった過酷な戦場の実態や生活基盤まで破壊されたレイテ住民の悲劇を浮き彫りにし、〝勝者なき戦場〟の実態にせまる。
昭和19年秋、フィリピン中央部レイテ島で、太平洋戦争の大きな転換点となった決戦が行われた。投入されたのは太平洋戦争最多の29万人(日米両軍)。一ヶ月半の戦闘で失われた兵力は、日本軍8万(全兵力の97%)、米軍1万6千。戦火の巻き添え、スパイ容疑による虐殺、飢えなどによって多数の住民も犠牲となった。
既にサイパンが米軍の手に落ち絶対国防圏を破られていた日本軍。日本の勝利が絶望的となる中、大本営はレイテ島を、米軍に一矢報い少しでも有利な条件で講和に持ち込むための一大決戦の場と位置づけていた。しかし誤った戦況判断や、兵站を軽視した杜撰な作戦が原因で日本軍は大敗。以後は終戦まで防戦一方の戦いに、徒に多くの命が失われていくことになる。
補給のないレイテ戦で日本軍は、兵士の命を省みない無謀な戦法を常態化させていった。〝特攻〟もレイテ戦の最中に始められる。一方欧州と太平洋、双方で多くの犠牲を出した米軍の戦い方も、レイテで変貌する。戦争の早期終結のため、民間人の犠牲を厭わない物量戦を多用するようになるのである。