学会によるFD

 今日の日本ではFD(ファカルティ・デベロップメント、大学教員の能力開発)というと、各大学で行うものがほとんどで、学会が会員である大学教員の教育能力開発に取り組んでいるということはあまり聞かない。かつて私は、仲間と「大学STS教育研究会」というの作り、大学におけるSTS教育の向上に取り組んだことがあったが、みな忙しくなっていつの間にか立ち消えになった。しかし、アメリカなどではFDを学会レベルで取り組んでいる。特に例えばアメリカ社会学会などのような大きな学会では、非常に充実した取り組みを行っている。
 アメリカの科学史学会ではそれほど充実しているようにも見えないが、日本よりは確実に進んでいる感じがする。日本において科学史がもう少し発展するためには、各大学における科学史の授業がより充実して、多くの学生に科学史という学問の価値を認めてもらえるようになることが必要だと思う。科学史の発展を目的として存在する科学史学会は、そうした大学教員のFDにも責任を持つべきではないだろうか。
 ちなみに、9年前に出された大学審議会答申にも、そのことが書かれている。

(イ)学協会等における取組
 教育内容・方法の改善のための研究・研修については,大学ごとに実施に努めるほか,専攻分野ごとに学協会等においても積極的に取り組みその結果を大学教育に反映させることが期待される。
 さらに,大学団体や学協会等において大学教員の教育能力向上のための研究・研修プログラムの研究開発を進め,各大学においてその活用を図っていくことも有効である。

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