とうとう来た

 アメリカの大学教育についていろいろ調べたことがあるが、教員は自分の担当科目のシラバスを詳細に書き、学生や大学に対して自分の授業の質を証明しているように感じた。それは、自分の授業に対するクレームに対して自分を守るための証明書類のようでもある。アメリカの学生は、日本の学生より権利主張が強いので、教員の授業に対して不満があれば、教員に、そして大学にクレームを付けることも多いのだろう。
 日本ではそのようなことはこれまでほとんどなかった。教員がいくら手抜きをしても、それに文句を言う学生はあまりいなかった。
 しかし、日本も次第にアメリカに近づきつつあるようだ。本学の意見箱に、教員の解雇・厳重注意要求が学生から出されている。大学は「内容次第で積極的に対応していくつもり」と答えている。とうとう日本でも、大学教員が自らを守るために、自分の授業の質を証明することが必要な時代になったと言える。私たち教員は、自分が、また同僚がそうしたクレームにさらされたとき、どのように説明責任を果たすべきか考えておかねばならない。

追記
 かつて、ピーター・サックス著『恐るべきお子さま大学生たち 崩壊するアメリカの大学』(草思社、2000年)という本を読んだことがある。題名がショッキングだが、内容は私たちが大学で経験していることとかけ離れてはいない。この本の原著は1996年に出たが、日本でも少し遅れて同様の事態が進行中だ。

追記7/27
 大学教員の日常・非日常で本エントリが紹介された。アクセスカウンタが異常なペースで上がっているので不思議に思っていたが、原因が分かった。

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